写真左、秋の湯浅湾・やびつ海岸。写真右、秋の湯浅湾・すはら海岸。

　「ベストシーズン真っ只中」
　ラ・ニーニャ現象による異常な残暑もやっと落ち着いてきて、シーカヤックも俄然漕ぎやすいベストシーズンに入ってきました。

　海＝夏だ、というのが一般的な捉えられ方ですが、それは海水浴場のブイの内側のちっぽけな世界しか知らない海音痴さんの固定観念というものであって、ブイの外側の大海原には日常のちっぽけな悩み、しがらみ、矮小な欲望などバカバカしくなってくるような、美しく広大な世界が広がっています。

　秋は空気も海水も透明度を増し、海上から眺める海岸線の断崖絶壁や山々のシルエットやきらめく海面や洞窟や巨石や広い広い水平線やその他視界に入るすべてが、他の季節にはない独特の存在感をもって心に染み入ってきます。シーカヤックはハイキングやトレッキングやサイクリングと同じようにゆったりと人力で移動するものなので、暑い夏と違って汗だくになることなく、心地よい気分で海上を散策することができるでしょう。

　特に中国大陸南東部あたりから数珠繋ぎにやってくる移動性高気圧に覆われた日の海上はワンダフルです。
　また穏やかに雨がそぼ降る凪の日も、海の生命の静かな吐息すら感じられるようで味わいがあります。
　
　この仕事をしていて、世の中には「海＝夏だ！」「海に遊びに行く＝真夏の海開きの時期だけ〜」という固定観念が思いのほか頑迷だなあという感がありますが、もったいないというか気の毒というか歯がゆいというか、なんともいえない切ない気分になってしまいます。
　シーカヤックに限らずなんでも「固定観念」に囚われていては変化も進歩もなく、面白いことなど何も起こるわけがありません。
　
　たとえば「何かおもろいことないかな〜」なんて言ってらっしゃる方、
　この秋の行楽シーズンにはぜひ海上をシーカヤックでトリップしてみることをお勧めいたします。
　本当の海の魅力を新発見していただけることでしょう。
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